2012年12月18日火曜日

新シーズンに向けて


チームの初顔合わせとペーパーワークを一挙にこなすために、2013年のチームメンバーが香港に集まった。
香港にはチャンピオンシステムのオフィスがあり、周辺の道路で撮影、病院でメディカルチェック(Electro Cardio Gram, 有負荷心電図検査)など、三日間という短い間ながらやることは多い。

新しいスーツケースを受け取ったりとか。。。


ホテル周辺はこんなかんじで。香港の中でも大陸側、新界のSha Tinなるところにあった。



集合写真の撮影


チームメイトたちとも受験英語の賜物を駆使しながらなんとかコミュニケーションをとることができたみたいだ。

2012年12月11日火曜日

2013年に向けて

12月に入ってからは霧島チームロードの準備と運営にてんやわんやだったのですが、今度は2013年のレース活動体制に関して発表させていただきます。

2013年はチャンピオンシステムプロサイクリングチームで活動することになりました。初めての海外チーム移籍になります。思えば一昨年はまだ大学生だったので、隔世の感がありますね。。。

日本での練習ベースは地元の鹿児島へ移し、たまに東京と行ったり来たりというところになると思います。それ以外は海外ですが、拠点は皆目検討がつきません。

まずプロコンレベルできっちりと仕事ができるようになる、海外チームでの所作を学ぶなど、課題は山積みですがそこが楽しみでもあります。国内のチームで、きちんと走っていくだけであればそこそこの自信はついてきた時期でもあるのですが、「お前はいったいどれほどのものだ?」と常に問いかけられ、恥をかくことの多い環境にあえて身を置くことで、自分がこの世界に求めてきた本質的な成長は多く得られると判断して、2013年に向けた移籍を探ってきたところ、チャンピオンシステムと巡り会えました。思えばシマノに入った時も、ブリヂストンに入った時も「こんなことも知らねえのかよ」的なことが多く、チームメイトやスタッフは大変だったと思うのですが、そこをバシバシ指導してくださった皆に本当に感謝です。

というわけで、プロ選手はすぱっと綺麗に全てをこなし、素晴らしい走りを見せるだけが仕事である、という考え方が主流であることは重々承知なのですが、どうやら来年もそうはいかないようです。(そして主流には基本的に乗れない)そのときそのときに、必死でものを考え、昨日の自分を超えるということを目標にベストを尽くすあるのみ。その過程をみなさんにも一緒に楽しんでもらえまいか、というのが僕の希望です。(あくまで希望)

2013年も応援よろしくお願いします。

2012年12月11日 西薗良太

2012年12月2日日曜日

またも天才に捧ぐ


 今日は冷たい雨が降りしきっていたこともあって、「筋肉博士 石井直方の筋肉まるわかり大事典 Vol.2」なる本(石井先生のその他の本もお勧めです。教養時代を思い出す。)を、コンディショニングの研究すべく、図書館から借りてきてがりがり読んでいた。座学である。その中の項目に、「日本人が発達させやすい筋肉は?」というページがあって、筋肉そのものの人種差については、学術的な研究は少ないものの、経験的・外観からわかっていることがいくつかある。背面の筋肉が欧米人や黒人の方がアジア人より多い傾向があるらしい。ボート競技などではこれが致命的に効いてきているとのこと。
 一方で、日本人のほうが発達させやすい筋肉というものもある。大胸筋、上腕三頭筋などがその一例。日本人がパワーリフティングをやると相対的にベンチプレスが圧倒的に強い。
 さらに日本人がはっきりと筋肉量でまさる部位として考えられるのは、ふくらはぎ。日本人はヒラメ筋が大きいらしく、ふくらはぎが大きく広がったような形に見える人が多いそうだ。ふくらはぎの大きさは陸上スプリント系種目にとっては良いことではないらしく、素早く足を動かすにあたって、体幹から遠いところにあるふくらはぎが大きいと、回転モーメントが大きくなり、振り回すのにその分余計な力が必要になる。

以上をふまえて、日本人のロード選手は何ができるか?まず、大胸筋周辺を最大限活用できるポジションが必要になる。ペダリングを受けとめる体幹群筋力のうち、大胸筋周辺で受けとめる割合を増やせばいい。しっかりとハンドルを握って、押しこむイメージだろうか。多分ハンドル遠目が良さそうだ

で、ふくらはぎが太くなるなら素直に太くさせてやればよい。ロードバイクならば変速が可能だから、陸上短距離みたいなすばやく足を振り回す動きを、本当にケイデンスも必要なシチュエーションを除くと、ギヤを上げることで解決できる。要は重めのギヤで、回転を落とせばよろしい。その分をふくらはぎから発揮される、足首周りの筋力を活かしてポジションを作り、トルクという形で補ってやれば良い

と、ここまで考えていたところで、「いたな、そういう人」って感じではっと気がついて戦慄した。かなり標準よりふくらはぎが太くて、トルクフルで、大胸筋~腕の筋肉が隆々で、結構ハンドル遠目の人。。。。ごく身近で実践している。
やはり彼は天才なのかもしれません。。。

天才@フランス


自転車選手的新年


みなさま

あけましておめでとうございます。自転車選手の正月はあけました
ツール・ド・おきなわから1週間自転車に乗らずに、一度身体をリセットすることにつとめながら暴飲暴食を自分に課しつつ、順調に体重が増加したところで、やっぱ動かないと飯がうまくないな、と思う次第。端的に言うと、暴飲暴食飽いたらしい。自分なりの規律があれば、なんでもないことが幸せに感じる。
来シーズン、力を手に入れるために、昨日の自分よりも少しでも強く。
精進していきます。

Dear friends,

I would like to celebrate the new year’s day of cyclists.
After finishing tour of Okinawa, I haven’t touched my bike. I healed up my body, relaxed and eat what I am not able to eat on-season. However, I found I cannot taste food well without training. I strongly reccomend you to train well even just for tasting food well. It adds small but certain happiness to life.

I will make efforts to make difference day by day.



2012年10月30日火曜日

ジャパンカップと輪島、シーズンのふち


オマーンでサガンの無茶苦茶なパワーを目撃してから、シーズン終了一歩手前で再び目撃する。。。ということになんとなくお互いにシーズンがんばってきたんだねえという感慨のようなものを(一方向的ながら)宇都宮に来て覚える。今シーズンは色々と沈むこともあったけれども、ポイントを押さえながら、特にTTを中心に結果を残すことができた。

しかしながら、ロードレースでは、本当に万全の状態でレースに臨むことができるようになったのは北海道あたりから。ジャパンカップは国体にも出なかった分、しっかりと乗り込んで着実に準備を重ねてきた。前々日のプレゼンテーション、前日のクリテリウムをこなすにあたっても、プロ一年目として参加した昨年と比べて、気持ちにも体調的にも非常に安定していた。

ジャパンカップ本戦当日も半ばを過ぎるまで、全てがミーティング通りに進行し、さあこれからという場面を迎えた時に事件は起きる。マシントラブルによって、完全に停止せざるをえず、バイク交換。ここで色々と手間取り、さらに微妙にポジションが合わない。

本格的なペースアップの一度目はしのいだものの、それまでだった。長い準備も一瞬で無駄になる。

輪島ロードはとにかく純粋な力勝負にもっていけるように展開を作っていくことを確認してスタート。しょっぱなから都貴さんが強烈なスタートダッシュを決め、アタックをかけようとしていく選手を片端から飲み込んでいく。雨でさむかったこともあって、先制パンチは心構えのない他の選手には強烈に効いた。あっという間に7人程度まで絞り込む。

しかしここからあまり自分のパンチ力がない。一定高ペースは得意なので安定して出せるが、今年かなり克服してきたパンチ力が再び失われている。都貴さんや和郎さんとの連携ミスも各所にあって、全体としてしっかりと気持ちも足も作りこんできたブリッツェンに比べて雑だった感が否めない。結果も都貴さん3位、自分4位で完敗。

沖縄まで、本格的なシーズン中ではなかなかできなかった、ファンの皆様とサイクルモードなどで交流しながら気持ちを作り、自分の中では「2013年開幕戦」のUCIとなる、沖縄で再びアンカーで勝利を目指す。

いつも応援ありがとうございます

2012年10月1日月曜日

原点

地元、鹿児島県霧島市へ帰還。午後は移動で固まった筋肉をほぐすために乗りに出かける。

Garmin Edge 800Jに、予め細い道路をつなぐコアなルートを書いておき、たどってみる。
18年の道路データベースに入っていないハードコアな道を選択した

ハードコアを楽しめる段階

ちょっと鬱々としてきた段階

帰れるのだろうか。。。(ロードバイクです)


固い路面のありがたみを感じる。。。

シクロクロスバイクでいったら最高だったであろうルート選択となった(白目)

2012年9月24日月曜日

かくの如くしてミイラは生まれる。。。

経済産業大臣旗、全日本実業団後の私の足。

やっちまいました。。。
かなり良い展開で試合を進めていたのですが、失敗しました。

アンカーは序盤から激しく攻撃を仕掛け、一周目から一時はチームタイムトライアル状態を作って抜け出す場面あり。それでも数と勢力で拮抗するブリッツェンとシマノとジリジリとした睨み合いとジャブの出し合いが序盤は続く。

1時間ほどでようやく隼人を含む少人数の逃げを行かせて一旦沈静化。そこから2時間になるまでは、逃げに乗せられなかったチームがちょっとずつ引いて、集団をコントロール。ここで残る三人は引いて、しっかりと序盤の打ち合いから回復しつつ仕切りなおす。

1時間あまり逃げ続けた隼人たちの集団が一旦吸収されてから、再び集団は不安定になり、広島名物三段坂で初山選手が仕掛けたことから一気に集団が伸び、更に登り切りで自分も追加で攻撃。

吸収されるも、明らかに周りがいっぱいいっぱいという兆候がでてきたので、これはいつでも勝負が決まるな、と思っていたところに、ホームストレートで数人が抜け出す。これまで試合中に選手を観察していたところ、マリウス選手がゴールまで連れて行くと一番やばいな、と感じられた。そこで、彼の位置をはっきりと確認してからつけないようにアタック。

すぐさま隼人がこれに飛び乗ってきたので、一瞬待って後ろにつけると、ぐいぐいと踏み込んで登り切りまでに前の逃げに合流。アンカーからは4人全員が乗って、圧倒的数の有利をつくりだした。これまでと違い、きつい場面でつくった決まる逃げ。さあ、これからだ!という場面だったのだが。。。

先頭の伊丹が逃げを決めるためにイニシャルDバリのこれまでと数段違うダウンヒルを開始。一番深いコーナーで自分は一瞬車間をあけてしまう。これに焦って早めに距離を詰めるべく、ペダリングを少し早く開始してしまうと。。。まだバイクを深くバンクさせすぎており、ペダルで路面をガリッと。

スピードが速すぎて、一瞬浮いた直後、車輪を滑らせ、左半身を削りながら横ドリフト。直後にいた隼人も一緒に草むらに突っ込む。隼人は素晴らしい反射神経で切通に乗り上げただけですんだが。。。

すぐ起き上がったが、車輪が歪んで走れない。隼人は大きな問題がなく、すぐに再出走したが、サポートカーなどもなく、サポートバイクも引き上げてくれず、隼人は自力で大きな差を埋めた。自分はホイール交換などにさらに手間取り、完全に勝負から外れてしまい、バイクから降りた。

消毒と砂落としの激痛には本当に麻酔が欲しいです。。。というか、メディカルに鎮痛剤が備えていないのは、人間のクオリティ・オブ・ライフを損なうと思います笑

その後伊丹が奮闘したものの、隼人は復帰に足を使いすぎていてうまくいかず、和郎さんにはトラブルもあって結果伊丹の3位。

完全に自分のミスで落としてしまった試合だった。深く反省。
ちょっと休んで傷を治したら、ジャパンカップに向けてのトレーニング開始です。




2012年9月22日土曜日

広島へ

全日本実業団が広島森林公園にて開催。

一昔前までは全日本ロードが毎年開催され、多くのドラマを生んだ。使える幅の少ない高速ダウンヒルからジャブの如く繰り出される細かいアップダウンは、総合力に長けたパンチャーを好む。


森林公園は広島空港に隣接。都内からのアクセスも良い。
輪行バッグを引きずっていった学生時代の思ひで。




ピクニックとかメルヘンを一度ぐらい楽しんでみたいものである。



2012年9月19日水曜日

ツールド北海道2012その2


3ステージは平坦基調ながら196kmと長く、内間選手を失って4人でコントロールするニッポを最初と中盤にある2つのこぶで崩すことは不可能ではないと思われました。間の平坦区間では、普通に考えて逃げをいかせながら、コントロールしなくてはならない状況になるし、おとなしくスプリント勝負をしても勝ちの見込みが薄い、何も賞がついていないチームがいくつもあるからです。5分以上の確率で勝てるスプリンターがチームいないならば、エスケープからも勝機を狙うのがセオリー。しかし、実際には逃げらしい逃げは一度もうまれませんでした。

最初の登りからニッポが高速でコントロールし。バリアーニ選手と佐野選手がローテーションを回すだけで、誰も前に出られないペース。ようやく登り切り付近で、山岳賞争いから、ジェリーベリーやOCBCが前に。ブリヂストンも山岳賞争い2位につける和郎さんのためにあがります。ラスト1キロでかかった際に、バリアーニ選手とカンパニャーロ選手が山頂を確認したところで安心してふっと抜いたので、全員チームメイトが前にいたのも利用してアタック。8人ぐらいで山頂を越えてゴーを出す。ほぼBSのチームタイムトライアル状態で、それなりにチャンスだけど、派手すぎて決めるのは難しいとわかっていた。それでもまずはワンパンチにはなる。ニッポとしても放置するわけにもいかないので。

下りきりでバリアーニ選手が集団を引いて一旦僕らを捕まえると、「ブラーボ!」とニッポ選手たちで笑いながら拍手。「日本人どもが、なに無駄な攻撃仕掛けているのかな?」というニュアンス。総合2位のチームがまっとうにポイントで仕掛けても、さほど彼らにとってはリスペクトがないらしい。でも効いてたな。

そこから次の登りまで何が起きたか?1回目ホットスポットのスプリントのカウンターから仕掛けた以外には、特になにも起きませんでした。他のチームは1位と秒差の総合3位とか4位を守ったり、ステージ入賞(優勝ではない)を狙うのに忙しいらしい。一部を除いて、エスケープからリーダーチームの崩壊を狙って、1位を取りに行く、もしくはステージを取りに行く、という姿勢は皆無。そういう意味では、確かにレースをしていないな、という印象。

2回目の山岳賞・2回目のホットスポット後の登りでも激しく都貴さんや伊丹がかけるも、他のチームはエスケープしても無駄足だから。。。という感じで全く乗ってこない。この時にはカンパニャーロ選手が遅れ、佐野選手もかなり足にきていてチャンスだったにも関わらず、僕らの動きに便乗して、前で勝負するチームが現れなかった。リケーゼ選手のみがついて来ている状況で、彼が丸裸になっている時間帯がどちらにもあったんですが。。。

結局再びニッポとマトリックスが引いてゴールスプリントへ。隼人に引き連れられて、10位。この日はホットスポットでも絡めたので、スプリントは結構良かった。個人的に新たな収穫です。しかし、そもそも荒れたレース展開にするつもりだったので、あまりスプリントは考えていませんでしたが。

そういう妙な展開でした。



さて、全部映像があって一部始終が目撃されていたら、記者の人たちからありそうな質疑応答集。
Q.1度目のホットスポットの際にカウンターで集団が活性化した際にバリアーニ選手がメカトラで遅れていたとの情報がありますが、それはロードレースの礼儀に反するのでは?

A.そもそもバリアーニ選手がメカトラで遅れていたことをチームの誰も知りませんでした(偶然スプリントのポジション争いで集団に埋もれ気味だったので)。チームメイトの佐野選手も知っていたか怪しいと思います。特に僕らに何も文句を行って来なかったので。その時、学連もU23賞争いがあったり、僕らも総合争いでタイムを取りに行ったり、スプリントの白兵戦が続いていたので、その時に誰か遅れてもリードアウトで一旦下がったのかな?ぐらいにしか思いません。彼には気の毒でしたが、単に運が悪かったとしかいいようがないでしょう。しかも一度活性化したのを、誰かのメカトラでじゃあやめ!というのはいくらなんでも難しいです。前ならともかく。


Q.第2ステージでは、なんで前に乗ってないチームは11人も逃げていて焦らないの?

A.逃げに入っていないチームをリストアップして、もう一度考えてみてください。昨日の記事でも一応答えています。

ちなみに、昨日、今日の文章通して、大門さんの意見に対して、異論であって、反論ではないんですよね。

以上、少なくとも僕らは持てる範囲でレースができたのではないかと思います。

次は広島森林公園で経済産業大臣旗です。チームでヴィオラジャージダブル獲得(クロノ&ロード)を狙います!

2012年9月18日火曜日

ツールド北海道2012その1


ツールド北海道2012が終了しました。結果は総合で2位、ステージ2で小集団スプリントから2位。優勝はニッポのリケーゼ選手。

今回の話はhttp://cyclist.sanspo.com/20761 に対する異論という意味合いも強いので、合わせて読んでください。ロードレースは単純じゃない。

まず、今年のレースはチームのパワーバランスがひずみすぎて、展開が特殊でした。スタートリストを眺めた瞬間に、きちんと力関係をはかっていけば、ニッポが勝つことが明々白々。純粋な力関係でいえば、そこまで断言できるレベル差がありました。ニッポは今回3名の外国人選手を入れてきました。バリアーニ選手、リケーゼ選手、カンパニャーロ選手。日本人は佐野選手と内間選手です。

率直にいって、同じ登り系の選手としてバリアーニ選手の力は僕や増田さん、譲さん、都貴さんなど国内一線で登る選手と比べても3枚ぐらい力が違う。TOJと熊野でみせつけられた力は度肝を抜かれるもので、ツアー・アルザスで一緒に走ったEndura Racingのジョナサン・ティエラン・ロック(今年プロツアーがひしめき合うツアー・オブ・ブリテンで総合優勝。来年チームスカイ)と比べても、まだバリアーニ選手の方が強い。これは、同じレースでギリギリの線を攻めて走らないとわからないことだと思います。

リケーゼ選手も、強豪ひしめくヨーロッパ・ツアーで確実に着にからむ実力者。第2・3ステージの登りで攻撃をしかけてわかったことは、ヨーロッパで戦えるスプリンターがいかに強力な登坂力をもっているか。国内の他のチームで、彼に中程度の距離までの登りで戦えるのは、おそらく先に上げた数人のエース級選手だけ。カンパニャーロ選手、佐野選手、内間選手もイタリアの厳しいレースをこなし続けているつわものたちです。これらの距離感ははたから見ていても、多分わからない。

他チームは戦略でこの差を埋めて勝利を考えなくてはならない。一緒に同じように勝負どころに加わっているのでは、確実に、圧倒的に負けることがわかっている。それを真っ向勝負するのは、ロードレースではない。実力だけ知りたいなら、それぞれ得意な地形でTTでもやればいい。

ここからは主に第2ステージの話。

このパワーバランスで900mアップの十勝岳を含み、その後もアップダウンの激しい第2ステージを迎えるわけです。レース展開はシマノレーシングライブとか、ブリッツェンライブを見てもらうとして、最初に発生した11人の逃げにニッポが1人しか乗せられなかったというのは、前提とされる実力差を考えると完全にニッポを崩すために近い方法。まともに集団で十勝までいった場合、バリアーニ選手・佐野選手の登坂で簡単に他を突き崩せるし、枚数さえ揃えていればリケーゼ選手で勝負できるニッポを唯一揺さぶる方法です。カンパニャーロ選手さえ攻略できれば勝てるのですから。壁が一番薄いところに偶然手が届いたわけで。

メンバーを見ても、譲さん、ハミルトン選手(ジェリーベリー)、マーティン選手(OCBC)、山本選手(鹿屋)、和郎さん(ブリヂストン)は各チームのエースかサブエース。シマノは当然このまま勝負したいし、ジェリーベリーは2人乗せていて絶好の展開。我々、ブリヂストンチームも練習の段階で僕らは和郎さんの調子がかなり良いのをよく知っていたし、カンパニャーロ選手と和郎さんが去年戦っていた距離感からも、落ち着いて戦えば勝ち目が十分以上にあることを知っていた。

これが中盤僕らのチームが追走に入らなかった理由です。

以上は簡単にわかるんですが、残るチームが本当に逃げメンバーで勝負したかったのかどうかは知りません。でも、正直牽引に入っただけで崩壊するチームが大多数だったと思います。あの11人の逃げはニッポじゃないと潰せなかったでしょう。それぐらいには強力だった。

結局あの時、一番焦るのはニッポだったわけです。しかもニッポは今回カンパニャーロ選手のコンディションが前で登り勝負できるほどよくないことを知っていたと思われます。登りが始まってからすぐに和郎さんが単独で強力な逃げを開始。他チームを置き去りにしていき、ブリヂストンとしてはますます状況が良くなり、次を待ち構えるのみ。

バリアーニ選手はいきなり和郎さんへのジャンプアップなどではなく(本人にその気があれば、一瞬でできたはずです)、リケーゼ選手込みで登ることを選択。ここで追加攻撃でリケーゼ選手を落とすことを狙うオプションは確かにあったんですが、十勝岳は案外勾配がゆるい坂で(だからこそ、それなりに集団が大きなままで残った)、後ろについていれば、それなりに楽=バリアーニ選手が余分に足を使ってくれている状況。同時にリケーゼ選手を落とすことは困難。さらに、ここでニッポの枚数を減らすことが出来れば、最後の丘で十分に勝負できるというのが、試走から得た情報による感想でした。そしてあのペースから意味のある追加攻撃ができる人間は多分2人しかいなくて、2人では意味が無い。

この日の和郎さんの攻撃は本当に強力で、十勝岳後のアップダウンを佐野選手とバリアーニ選手が猛烈に牽引してもなかなか差がつまらないほど。ようやく捕まる頃には、そのプロトンのペースの速さのあまり、選手が20人ほどしか残らないほど。。。

そして最後の丘を迎えました。この時点で確実に総合を狙う方法は2つ、
1.丘での攻撃による小集団ゴールを狙う
2.大集団で隼人によるスプリントを狙う

バリアーニ選手と佐野選手が、最後の丘でそれほど足がないのに気づいた瞬間、位置取りをしていた伊丹と僕が攻撃にいき、1.が選択されました。(<-これにも色々と議論が巻き起こりましたが。。。)

が、ここでリケーゼ選手がこの逃げに入ったところが良くない形。やはりこの程度のアタックでは彼を振りちぎれなかった。僕らのミスです。このままでは小集団スプリントを奪われてしまうことが濃厚。

この時、天秤にかかったのは
1.このままいく。
唯一登り系の選手で第1ステージ結果からボーナスタイムを持っている譲さんからリードを奪えるため、勝てないまでも、この集団で最後まで行く。一緒に逃げに入った増田選手と飯野選手なら、スプリントでこちらも負けていない。リケーゼ選手にボーナスタイムで負ける分は翌日の第3ステージが200キロと長いため、平坦基調のコースとはいえ、5人でコントロールしきるのは難しい。波状攻撃で奪えるはず。。。

2.完全につきいちで集団に戻す。
やっぱりリケーゼ選手にボーナスタイムを取らせるのは危険。完全につきいちで隼人によるゴールスプリント勝負に託す。

伊丹との協議の結果は1.このままいく。

6人で後ろのとの距離をはかりながら、最後までたどりつき、最後は伊丹に先行してもらいながら全力でゴールスプリントをとりににいきましたが、やはりリケーゼ選手に敗れ2位。

厳しい10秒差を負ってしまいました。第3ステージに続く。

2012年9月12日水曜日

都貴、ポジションについて語る5


前回まではこちら


西薗:色々な記事を読んでいると、Garmin-Sharpみたいなところで、専門のフィッターがいるようなところでも、相当個人差を許容出来るようになっているんですよね

都貴:ちゃんと個人に合わせてるってこと?それは、当然のことだよね

西薗:当然のことなんですけど、そういうのってフィッターは個人差をどうやって吸収しているんだろうなーって

都貴:そういうのって何か定理があるんだろうね。そこが知りたいよね。俺も知りたいよそんなもの。だったら簡単だもんな。

西薗:そのー(定理云々に関しては懐疑的)、ちょっと一昔前のフィッターだったら、同じようなポジションを取らされるだけで、それはそれで標準的なのは出せても、高い次元で走るためには意味が無い気がしていたんですけど、なんか最近のフィッターって個人差を認められるようになっている印象があるというか。。。例えば、(ライダー・)ヘジダルなんか凄いじゃないですか。

都貴:でも、例えば、最低肘の角度と、骨盤の角度は同じようにするために、それに対してポジションを調整させてあげてるっていう考え方の人もいれば。。。まあ、それはやっぱ骨盤の角度とかなんじゃないの?

西薗:何が?個人差が?

都貴:いや、骨盤の角度とかを共通にしてセッティングをしてあげているだけなんじゃないの?

西薗:いや、骨盤の角度は明らかに人によって違ってるでしょう。

都貴:ああ~、だからそれをどうやって。。。

西薗:だってヴァンスーメレンなんて完全に立っているじゃないですか。

都貴:あれもフィッターが出しているわけか。

西薗:一方で、新城さんなんかはかなり寝ているじゃないですか。

都貴:極論を言っちゃえば、長く乗っていることに対してストレスのないポジションを作ってあげるっていうのが基本なのかな。そうすれば、ずっとそのままトレーニングできるわけじゃん。

西薗:でも、それをフィッターっていうのはどうやって見ているんですかね。フィッターなんてそれは自分が乗っているわけじゃないですから。被験者になることはできないんで。それでなんでストレスがないと思われるポジションが出せるのかなあと。ただ単にヒアリングしているんかな。それとも勝手に選手が修正しているのかな。

都貴:修正するんじゃないの、やっぱり。だって関節のゆるさとか、開き方とか、かなり違うからね。がに股とO脚でも全然意味が違うだろうし。

西薗:シーズンの序盤か後半かによっても違うしな。

都貴:バイクの剛性感によっても、ジオメトリーによってもやっぱり若干変わってくるだろうし。使用しているペダルによっても、可動域が違うから変わってくるだろうし。

西薗:うーん。

都貴:でもやっぱり、極端なポジションっていうのは、瞬間的な力は得られるんだけど、総合的な力は得られないんだよ。どっかとっかえになってしまう。

西薗:そこは難しいですよね。

2012年9月10日月曜日

都貴、ポジションを語る4


ポジション関連の連載はちとアクセスが少なくて、専門的すぎるのであろうかーと思って一度切ってしまったのですが、その後各方面からやたら反響をいただき、ページビューも激増したため、都貴先輩の威力を思い知った上で、彼の思考法を世に広めるべく、編集活動を再開いたします。

というわけでロードバイクに乗るためのポジション論の連載第4回です。前回まではこちら


それでは今回分です。


西薗:コラムも難しいですよね。例えハンドル高を同じにしたとしても、コラムの突き出し量で結構走りが変わるのは意外ですよね。

都貴:コラムを伸ばすことによって、腰、手を置く位置、ペダルの3点のバランスが変わってくるじゃん?例えば、ステムを伸ばしただけではしっくりこないのを、高さを上げて調整する、とか。他にもサドルを前後させたぶん上げないといけないとか、下げないといけないとか、あるじゃん。それが、ハンドルにおいてはステムを伸ばしたぶん、位置上げないと行けないとか、ブラケットを立てないといけないとか、

西薗:遠くする場合でも、ただ遠くすればいいというわけではない。

都貴:うん。ただ遠くすると、例えば、目線が低くなってしまうとかあるわけじゃん。3点のバランスを無視しちゃうとね。

西薗:ハンドル周辺が低くて近いのと、高くて遠いポジションの違いはなんだと思いますか?

都貴:それはぜんぜん違う。遠くて低いのと、高くて近いのは、俺は体感的には同じ事だと思う。いや、体感は違うけど、同じように出力は良い。両方力が出せる。

西薗:直感的には真逆の2つのポジションは、どちらも力が出ると

都貴:うん、その中間(中ぐらいの高さで、中ぐらいの近さ)でも大丈夫だと思うけど。
でも、低くて近いポジションを取ったら、俺は何にもできない。逆に、高くて遠いポジションをとっても何にもできない。

西薗:高くて遠いのもダメなんだ。

都貴:不安定すぎて。。。つじつまを合わせられない。

西薗:で、その中だと。エアロダイナミクス的に、低くて遠いのを選択するんですよね。

都貴:でも、高くて近いポジションを使っていたこともあるからね(ステムとかクランクとかのTOJの写真参照)遠くて低いのが見てくれは圧倒的にいいんだろうけど。

西薗:見てくれ以外には。。。

都貴:だから、登りだけ頑張れよって言われた時に、富士山(あざみライン)級のね、やっぱり高くて近いのが登りやすいよ。それは(80年台にイタリアで活躍した)市川さんも同じ意味で使っているのか、実際には知らないけど、それで彼は結果を出していたからね。

西薗:でも市川さんの場合、よく見ると3点のバランスは普通なんじゃあ、と思うんですけど。あれはバイクがちょっと特殊なんじゃないかなあ。

都貴:そうともいえるんだけど~。だからそれが、例えばしなりが何か影響するからああやっているのか、純粋に位置のためにああやっているのかがわからない。

西薗:そう、そこが問題なんですよね。結局ポジションが一緒でもコラム量で変わってくるわけじゃないですか

都貴:乗り味がガラっと変わる。

西薗:うん。。。なんとなく、はそこのところ、掴んできているんですけど。。。そこを系統建てて説明している本とか文章を見たことがないんですよ。

都貴:それは、ゾノさん自体が試して体感すべきだよ

西薗:いや、それはなんとなく実験が重なってきているんですけど、どうすればどうなるというか、おおまかな方向性を明文化してくれているものがないっていうか。

都貴:それは、完全に個人差だと思う。

西薗:個人差

都貴:だから、自分にあったのを探すのはやるべきだけど、このポジションはこうだからこうしろって勧めるべきではないと思う。

西薗:なるほど

都貴:だから、みんなに言いたいのは、なんで同じポジションでずっとやっているのかなーっというところかな。色々やれるんだったら、やってみて、自分にあったポジションを探すのが、自転車の楽しみだし、それは大いに勧めるけど、じゃあみんな市川さんのポジションにしたりとか、遠くて低くしろっていうのは、それは答えにならないと思う。

2012年9月9日日曜日

自転車選手は何を読んでいるのか?

次から次に移動やら宿泊をこなす自転車選手は手持ち無沙汰な時間をうまく過ごす術を知らなくてはならない。

自分の場合には、音楽を聞くか、本を読んでいることが多い。

最近手にとった本の一部。別におすすめするわけでもない。選手がどんな本を読んでいるのか?という博物館的サンプルに5タイトルを並べてみた。ガラスケースに入った一標本を眺めるつもりでタイトルを流してみてください。


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2012年9月7日金曜日

Edge800JとGarmin Connectを使っていかに合宿の計画を立てるか

Garmin Edge800を利用して、合宿地など、普段走り慣れていない場所で良いコースを利用するためのメモ




1.コースのイメージ作り。主に2通り
1.1Garimin Connetに接続後、アクティビティ検索を利用して、周辺でどのようなコースを他の人が走っているのかを検索する




1.2 ルートラボを利用する http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/







2.周辺にどのようなコースがあるかわかったら、
2.1そのままコースを利用する。
コースの詳細を表示->Edge800をUSB接続後、デバイスへ送信でOK。


ルートラボの場合はコース詳細下の方のTCXでダウンロード後、マウントしたEdge800のCoursesに放り込んでやればOK


2.2 自分でコースを描く
スタート・ゴール地点などが既存のコースで合わない、など、オリジナルのコースを作る必要があれば、

計画->コースから、コースを作成、を選択




コースを編集後、デバイスへ送信、でOK。共有機能を使うとチームメイトともコースを共有できます。スピードを適当に決めておけば、おおまかな走行時間などもわかって便利。

コースを編集する上でのコツは、幹線道路を回避して人が少なさそうな道路をうまくつないでいくことです。たまに攻めすぎると、ダートに突っ込んだりしますが。。。

これで道探しのストレスから8割は開放されるといってよいでしょう。お試しあれ

質問、etc.はTwitter @NishizonoRyotaまで。

2012年9月4日火曜日

都貴、ポジションについて語る3


都貴:でもなんだかんだいっても、遠くから引っ張ってくる腕の力を利用するために、低くて遠くにしたりとかやってるから、腕も筋肉ついているし、使っているんだろうな。

西薗:確かに腕は筋肉ついてますよね。使ってるんだろうな(と西薗の倍ぐらいの太さがあるんじゃないかという腕をみやる。)

都貴:うん、使ってるんだ。

西薗:学生の時からそんなに腕が太かったんですか?

都貴:いや、学生の時はどっちかといえば、コンパクトなローラーで回しやすいようなポジションにしてたから。

(ここでちらりと重要なことをいっているのだけど、都貴さんの考え方としてはローラーで出力が出しやすいポジション=実走で最適なポジションではない。ローラーの場合は車体が固定されているという、制約条件があるので、その分の補正はかならずあると思っていて、自分がまとめた限りでは、「バイクのしなりを利用して、重いギヤをかけるほうが出力が楽に出せる」というのが一番の根幹にある)

西薗:ふーん。それはヨーロッパツアー特有の、すごく流れる、とにかく高速で、ギヤをかけた方が有利になるレースに対応するためということですね?

都貴:うん。向こうに行った時にどうにもこうにもいかなくて、ローラーで回しやすいポジションを取っていても、どうやったってそんなギヤを回してらんねーよという結論にいたる。スピードが全く足らないとか。で、じゃあどうやったらギヤを楽にかけられるかというところにいって、そういうところから、じゃあサドル高をいじったり、ハンドルをいじったりしてきた。それで体感的にも結果的にも出てきた時には、サドルもある程度高く、(代表的な股下とサドル高の比率である)0.885よりも高くなってきたし、ステムも昔は100mmとか90mmとか使っていたのを120mmを基本にして、ってのをやってきて、レースで余裕も出たし、結果も出たから。

西薗:でもそれが日本で通用するとは限らないのが難しいですよね

都貴:そう、同じ事を日本のレースでやろうとして、成功したためしもないから。(北海道が例外。北海道はコース的にヨーロッパツアーのレースの感じに近い)だから、俺が周回レース苦手で、ストップ・アンド・ゴーが激しいレースが苦手なのはみんな知ってるしね。そこにいちいちポジションを作ろうとしてないってのもあるし。そういう探し方をすれば、日本にあったポジションってのもあると思うんだけど、なかなか大変だよ笑 みんながみんなヨーロッパツアーを走るわけじゃないから、自分の目標とするレースに合わせればいいんだと思うよ。


とまあ、都貴さんの凄まじいポジションにはそれなりに秘密があるのです(キリッ)
無茶苦茶に見えるのだけれども、またがらせてもらうと異様に体幹が安定して、力も出るという謎のポジション。そのバックグラウンドはまだまだありますが、とりあえず連載終わり。

2012年9月3日月曜日

ポジション論2


西薗:まあ、ちょっとステムとクランクだけ議論してきたんですけど、とにかく試すのが大事ですよね?

都貴:そう、試さないのがちょっと理解できないかな。色々語る人は多いけど。

西薗:一般の人は僕らプロ選手みたいにステムやらクランクやらハンドルやらとっかえひっかえするというのはかなり難しいんで、決死の覚悟でひとつのパーツを買って、それをしばらく使わないといけないという場面が多いというのが難しいんですよね。。。

都貴:まあそうだね。その部分は恵まれていたんだろうな。プロチームでも、融通がきかないプロチームに行ったら、自分で色々パーツ変えてっていうのを嫌がられるパターンだって結構あるわけだから。

西薗:あるでしょうね

都貴:頼みづらいよな、そういうところで、ステムとかポンポン変えてくれって。

西薗:意外と選手にとってはそういう細かいところが大事ですね。
ちなみに、都貴さんはサドル後退量が5cmドンピシャらしいですけど、その根拠ってあります?

都貴:規定だからってのもあるけど、その前も後ろもやってみて、5cmがやっぱりいちばんしっくりくるってのが一番。ここからちょっと前に出したり、下げたりしてもそれなりにメリット・デメリットってのはあるんだよ。だけど、総合力で考えるというか、ある種の無難さ?みたいなのをとると、このサドル位置になる。

西薗:うむ。

都貴:例えば、引いたことによって、サドル高上げないとつじつまがあわなかったり、色々あるじゃん。そういうサドルを動かすことって高さとか、ハンドルとの関係とか、色々なバランスが一気に崩れてしまうから、俺はどっちかというとサドルの位置を固定して、ハンドルで個性を調整する、みたいなイメージがある。

西薗:なるほど

都貴:だから、どっちもいっぺんにやろうとすると、一生答えなんかでないんだよ。

西薗:どっちか片方固定してみろと。

都貴:うん。でも、サドルの調整の仕方で言えることは、両手ばなしををしてさ、アウタートップに入れて、結構ガンガン踏んでも安定しているところを使ってる。それは、回しやすいというよりも、ギヤがかけやすいというのを優先していることになっていると思う。

西薗:うむ

都貴:で、ハンドル周りから腕の力は極力利用したいんだけど、なにせ俺は手が小さいから、なかなかあてにできなくて、そえるだけで力が入るところがあれば、まあ理想なんだけど。


とまあ、次回に続く。。。

2012年9月2日日曜日

全日本実業団TT

今シーズン鈴鹿TTTを入れると3勝目として、全日本実業団TTで優勝しました。(全部TTがらみだな。。。)全日本TTチャンピオンジャージの上にヴィオラクロノジャージ(実業団TTチャンピオンジャージ)を重ね着することができたのは素直に嬉しい。応援ありがとうございました。

詳細は書けないのですが、前半戦で長引いていた問題がようやくかたがついて、チーム一丸、すっきりと練習できるようになってきています。

心技体揃ってこその自転車ですな。

一方で東京大学自転車部後輩たちは、大学生レーサーにとっての大一番である、インカレに自分の地元の鹿児島で臨んだようです。結果は本人たちにとって決して満足できるものではなかったようですが、そこまでのプロセスを徹底的に振り返って自分の肥やしにしてほしいもので。

振り返るといっても、うまくいかなかったことや、不満ばかりを思い出すのではなく、合宿のくだらない話で盛り上がったこととか、練習の後でとんでもなく美味しく感じたご飯とか。フィジカルな体験はなかなか大学の勉強ではえられない。

一年に一度、あの空気はやはり特別だった。すごく懐かしいです。USTREAMをみて、みんなで大盛り上がりでした。

ロード優勝の中尾もおめでとう!

2012年9月1日土曜日

ステムとかクランクとか

えらく前回のアップデートからあいてしまいましたが、なにごともなかったかのように、ブログを再開します。

今日はポジションについて。
ポジションについては、当チーム(ブリヂストンアンカーチームね)には、各方面で非常に有名な?清水都貴氏がいるので、今回からは彼との話を記事にしてみましょう。

なぜに都貴さんがポジションに関して有名かといいますと。。。
こういう普通のポジションがあったかと思えば(中央)



こういう、凄いポジションがあったりして、(ブラケットとハンドル角に注目)



ということで、国内のレースに都貴さんが出場するときには、どの選手も一度はブラケットの角度をみてみようとする。。。はず。


西薗:。。。まずはステムの長さですよね

都貴:うん、長いほうが。。。まあ、出力も出しやすくて、操作も余裕が出て

西薗:出力が出しやすくなるってのは、どっから来てるんですかね?

都貴:わかんない。まあ、SRMとかでみていてもそうだし。要は、なにが一番違うかっていうと、ギヤがかけやすいだな。

西薗:なるほど。

都貴:明らかに、倍数の大きいギヤを容易にかけることができるから。

西薗:それは、都貴さんの乗り方の一つの特徴である、サドルに前乗りすることとなにか関係ありますか?

都貴:ダンシングの時にも効き目があるね。いや、むしろダンシングの時こそそうかもしれない。

西薗:それは、ハンドル周りのしなりみたいなところによるんですかね?それとも手を置く位置関係によるんですかね?

都貴:多分、俺はしなりだと思う。

西薗:ふむ。

都貴:だからもう、要は、バットの先を持つか、短く持つかの違いだよ。

西薗:長めに持ったほうが、ギヤをぶん回すのには良いと。

都貴:それが厳密に自転車の場合正しいとははっきり言えないんだけど、フィーリングをイメージで伝えるとそういうところかな。

ただし、足が長い選手(典型的なヨーロッパ人的な体型)にとっての120mmステムや、クランク170mmなんかは、うちらにとっての120mmや170mmとは当然わけがちがうから、そこは冷静に見極める必要があるけど。足が短いトップ選手でもクランク172.5mm使う選手は結構いるからね。プロツアークラスの選手だと、やっぱりちょっと背が低くても、172.5mm以上を使っているパターンが圧倒的に多いみたいだ。でも、それは単純にチームのクランクの在庫の問題や、カンパのラインナップの問題もあるみたいだ。ヨーロッパチームだと、勝手にそういうクランク長がついてくる、って(アラシロ)ユキヤも言ってたからね。

西薗:だけど、都貴さんの場合には。。。

都貴:俺は両方試してみて、総合を狙うなら167.5のほうがいいみたいだ。
俺もね、昔は長いクランクのほうがギヤがかけやすくなるって思っていたんだよ。だけど、全然違って短いほうが腰の安定感が増すからむしろギヤもかけやすくなった。

西薗:う〜ん。一概に長いほうが良いとも言えない。

都貴:うん、長いイコール、それがテコの力かといったらそうでもない。腰・体幹の安定性が一番違ったな。そして、クランク長に対してサドル高を変えてない。だから下死点付近では近くなってるし、上死点付近ではちょっと遠くなってるはずで、その影響もあるのかもしれない。

西薗:167.5mm と170mmの2.5mmぶんの補正をサドル高でやってない?

都貴:しっくりこなかったからね、やってみて。だから、クランク短くなって回しやすくなったというよりも、実質低くなったサドル高の方が安定感に寄与しているのかもしれないんだけど。。。ダンシングでも安定感が増すんだよね。なぜか。

おいおい、こんな感覚的なことで書いていいのかよ笑

西薗:大丈夫です。僕を信頼してください(キリッ)



と、言っていたのですが、ほぼそのまま上げてしまいましたー
まだまだ続く。







2012年7月23日月曜日

This is one of real pavé...

グランプリ・ペロンシに参戦してきました。
パリ・ルーベで有名なルーベの西側にある小さな町であるど平坦レースですが、「本物」の石畳があるレースです。

前回、あるある詐欺に終わった「本物」の石畳でありますが、今回はマジでありました。一応セクターの試走に行ったのですが、ひきつった笑いしか浮かびませんでした。こういうのを走ると、ロードレースという競技の幅を感じます。

レースは12km周回(石畳セクターなし)*6周と、15km周回(石畳セクターあり)*6周

目標は2周に1回ある、賞金(3位まで)を集めることと、アルザス前に石畳でも怪我するなよーというかなり後ろ向きなオーダー笑

前半のアタック合戦に全員で応戦し、ちょい逃げに乗って伊丹がまずは3位通過。
その後、3人逃げに自分が飛び乗り、2位通過2回

そこで、地元の強豪ルーベチーム(地名がチーム名になっているわけですね)、が主導した15人ほどのアタック(和郎さんが便乗している)が追いついてくる。先頭集団にアンカーが2人のせて良い展開

が、しかし石畳セクターが始まった瞬間に数人がバックファイヤーを起こす。そしてもれなく自分と和郎さんもバックファイヤー。メイン集団に戻る。

メイン集団で2回目の石畳。再び猛烈にバックファイヤー。。。終了

ちなみに、ユーラシアの竹之内選手が見事に石畳をくぐり抜け、8位入賞。ということで、テクニックの問題らしいです。。。


セクターの前後のデータ。緑が速度で、赤がパワー。セクターで20km/hぐらいしか出てない&クランクがろくに回せない(というか吹っ飛びかけている)ので、出力もろくにでない

人生初のリアルパヴェはほろ苦かった。。。


2012年7月13日金曜日

ガリビエ峠・アルプデュエズつづき

昨日は合宿4日目で程よく死んできたところで、拠点としているLallyの街から80キロほど車で移動した後に、ガリビエ峠とアルプデュエズにてメニューをこなす。


レースに使えるような「いい峠」は、アルプス山岳地帯に腐るほどあるが、その中でもこの2つがロードレースにおける聖地になっている理由はその光景と、勾配の具合が勝負をうまく演出するからではなかろうか、と実際に走って思った。

ガリビエの頂上周辺など、ツールのビデオで何度も見ているにも関わらず、全身で感じる感覚はなにものにも代えがたい。


ガリビエ山頂





3つのメニューをガリビエでこなして、軽く死体になった後、一気に40キロほどもダウンヒル。アルプデュエズへ。

かの有名なTTコースにて登る。ガリビエより標高もやや低く、日を遮るものがないためにこの日は30度近くまで気温が上昇した。







イメージと実感が合わさった日であった。
今日は休養日。。。

Galibier, Alpe D'Huez

今日は、ガリビエ峠とアルプデュエズ登頂。。。

2012年7月10日火曜日

ヨーロッパ後半初戦

ヨーロッパ後半初戦だった、Peveloiseはあえなく半分走ったところでリタイヤ。

石畳ばかりに注目していたのだが、結局当日になって石畳の荒れ方+雨によるドロドロ具合と周辺が池になっているという状況から、石畳はカットされた。よって、普通の平坦サーキットレースになる。拍子抜け

しかし、これで平穏に集団ゴールにならないのがヨーロッパ・ツアーのワンデーレースのもつ厳しさである。最初の周回からアタックがかかり続け、20人弱が40秒ほど抜け出すも、全く緩まないペース。コースもそこそこに細い道と横風、コーナーの立ち上がりが厳しく、先頭付近に留まることができれば、そこそこ普通にクリアできるが、少しでも下がると尻尾から消えていく。

要所要所で集団の前に上がることはできるのだが、そこをキープするのが難しい。そして横風で余計に風を食らっていた(チームメイトのアレックス談)のが災いして、半分ちょっと前でふと下がっていた時に横風区間に突入してしまい、数人のパックで分断してしまう。

後方の車列を利用して、そのまた数人でどうにか一度集団復帰するも、足を使いすぎ、もう一度横風区間に突入した段階でアウト。

日本でのレースのように無理に足で上がるということを繰り返していては、あっという間にアウトになってしまう以上、精度を上げて位置取りをしないとこのようなことが繰り返されてしまう。

レース後一気に南下して、チームはアルプス合宿に突入しました。またおいおいレポートします


2012年7月7日土曜日

試合前日

典型的なノルマンディーの曇天の下、走りだす。


7月というのに気温は20度を下回り、エルブフはうっすらと肌寒い。明日、我々ブリヂストン・アンカーチームは、ベルギー国境付近で行われる、本格的なパヴェを含む、まっ平らな周回レースを控えている。和郎さん、都貴さん、伊丹はこれまでの長いヨーロッパの経験からパヴェのレースもいくつか体験して、その厳しさを一つ一つ具体的に語ってくれる。位置取りを失敗すると、セクターを超える頃にはぶっちぎれているとか、その後の平坦でこそペースが上がるので、オールアウトしていると終わりだとか、ブラケットですらろくすっぽ激しい振動のために握ることは難しく、上ハンをしっかりと握って、重いギヤを回さないといけないといった、参考になる情報だ。

しかし、どれだけ話を聞いたところで、目で見て、走ったものにしかわからない情報というものがあることは、よくわかっている。とにかく飛び込んでみるしかない

一昨日に本格的なトレーニングを終え、昨日今日と身体の疲労を抜きながら、適度に刺激を与えるだけのトレーニングに入っているため、きついメニューを控えた日のような、気の重さはないが、どの程度身体が動くかどうかがそれぞれ気になる。







いつもの坂を越える。普段と比べて出力は自然に出ているか?筋肉はこれから訪れる激しい苦痛を受け入れる準備ができているのか?コーナーでタイヤのグリップを十分に感じることができるだろうか?






普段通り過ぎるカフェに立ち寄って、セーヌ川の風景を眺めながらコーヒー。ひとしきり語らいの後、帰る。

アパートにたどり着いた途端に降りだした雨に幸運を感じる。願わくばここで運を使い果たしていませんように...