2016年8月2日火曜日

Tour de Guadelope prologue and #1 / ツール・ド・グアドループは果てしなく長い

後半戦の初戦となったグアドループ。(ポルトガルは全日本と近かったので前半戦に入れる…廃人でした)ようやく1度リカバリーウイークを作って、ベーストレーニングを再開し、少しタバタ系のメニューを入れて軽く刺激が入ったぐらいでレースに臨むことになった。とりあえず気軽に、気軽にね…

しかしやはり10日のレースはそんなに甘くないことが明らかになっていく

初日はU字のコースで2kmのプロローグ。ノーマルバイクならこんな短距離では匙を投げるところだが、今回はTTバイクが使えるのでパワーだけでなく、エアロで差をつけることができる。また結構な風が吹いているのでペース配分が重要に。道が荒れていたり、減速帯のふくらみを超える必要があるので、技も必要。短いながらもそれなりに工夫する要素はある。

短いのでだらだらと緩いペースと、ポイントでスプリント的なウォーミングアップを入念にして出走。

僕の見立てでは、序盤にどれだけ抑えられるかのチキンレースになるはず。抑えすぎるとそのままドボン。しかしタイムは後半で稼げるので、後半に向けた大胆なペース配分が必要。それでも知らず知らずに最初から踏んでしまう。コーナーをクリアして限界までプッシュ。5位でした。こんな短いTTで着を取ったのは初めてです。気分よく眠る。

その夜からレース中までちょくちょく土砂降りの雨が降る。スコールみたいなのだが、結構長く続く。我が故郷の鹿児島の雨にどこか似ている。

本格的なロードレース初日の第1ステージ。蝶の形をした島の右側羽半分を使う160km強。初日は大体荒れるか、こういう長いステージレースだとものすごく平穏に進むかどちらかが多い。

このレースは前者でした。アタックの嵐でずっと速い。しかも結構な大逃げをチームで外してしまい、これをコントロールして捕まえるという決断を下す。

ジリジリと速いペースでアンカーの列車がまわりどうにか回収してタイム差無しでゴール。。。いや、最後に集団が割れて僕は10秒食らう(泣)

ゴール後は現地のスポーツ施設や学校でシャワー・昼食・バス移動の流れが多いようだ。

雨の速いレースで、派手にチームの力を使ってしまったがどうなるやら。まだ8日間あるのだ。

2016年7月30日土曜日

Shimizuは多分グアドループで有名な日本人のトップ3に入る or Tour de Guadelope opening ceremony

時差ぼけで早々に目が覚めて、遠征中としては早々と朝食をとる。このあたりでフランスから36時間ぐらい風呂に入っていないのが耐え難くなって、ちょろちょろと5mmぐらいの口径ででてくる水を使ってシャワーを浴び始める暴挙にでる。そのうち、空きペットボトルに水をためてからシャワーを浴びるという技術を開発して一歩楽になった。ちなみに僕はペットボトルで6本ぐらい必要だが、猛者は1本ですべてを洗えるらしい。多分すすげてないと思うんだけど

とりあえず身体を洗えることが証明?されたが、帰ってからまためんどくさいのに暗い気持ちになりながら練習に出かける。1時間半ほどのカフェライドだ。グアドループは左の羽が大きな蝶のような形をしていて、僕らは右の羽の下辺りにいる。そのまま東の突端まで海岸線沿いを走っていった。カリブ海のバカンスシーズンらしく、海は綺麗でそこそこ賑わっている。だがどこかしら華やかな感じがなく、フランスのあまりいけていない方面の田舎らしさを感じる。道はところどころ荒くて気が抜けない。走っているとかなりの車から合図をされる。「ツール」の選手であることをわかっているのだ。

どこか良さそうなカフェはないかと海岸線沿いの出店をのぞきながらスピードを落として走っていると、現地民の人たちは僕たちをじろじろとみながら、Japonais!という。つまり日本人だと認識している。ヨーロッパでは中国人と呼ばれることは多いが、一発目から日本人だといわれることは少ないので、これはちょっとした驚きである。さらに聞いていると、ほとんどの人がShimizu!と続けるのである。(しみず、ではなく、しゅみず!的な発音)この聞き覚えのある名前は誰あろう、清水都貴その人である。

都貴さんは引退前の過去数年グアドループに何度か出場して、熱い走りをみせ、テレビでインタビュー等が流れて?(この辺の経緯ははっきりしない。こんど本人に聞いてみよう)島民のあいだで大人気の日本人になったのである。

カフェでオレンジーナを流しこんでホテルに戻り、ペットボトルでシャワーを浴びて昼食を食べると突然猛烈な水圧で水が流れるようになった。お湯はでないけどありがたみが半端ない。枯れていた水源に急に水が戻ったりすると村上春樹ならなにか神秘的なメタファーになるところだけれども、残念ながら水道がなおっただけである。ちなみに龍と椿の部屋はまだ復旧していないらしい。

夕方になるとちょうちょの胴体の下辺り、ちょうど島の中心にあたるポアント・アピートルにむけてバスで小一時間の旅をする。

謎の陸上競技場で停止したが特になにも起きないので、暑い車内からみんなでてきて20分ぐらい運転手とともに外でごろごろしていたら、競技場違いだったらしく、なにごともなかったかのように別のスタジアムに運ばれた。

全部窓に鉄格子がはまったハードコアな公営住宅の合間にある立派なスタジアムの中でものすごく盛大にオープニングセレモニーが挙行された。

長い挨拶が好きなのは日本人だけと思っていたが、以外にもグアドループ民もえんえんと色々な人が入れ替わり立ち代わり話して、時差ぼけもあって眠くてつらかった。

そこからバスでホテルに帰ると10時頃でようやく夕食にありつく。部屋に戻ると11時前で、前も後ろもなく眠るのみであった。まだレースは始まらない。

2016年7月29日金曜日

グアドループは果てしなく遠い or Tour de Guadelope before race

フランスには本土以外にいくつか海外県というものがあって、帝国主義時代の名残を留めている。散々広げてきたかつての領土と人の流れが21世紀になって誰にも想像していなかったような形で近年爆発(ニース・パリ・シャルリー。。。)していると極東の島国からみるといささか「大変だなあ」という感じも覚えなくもない。そのへんを本土のエスタブリッシュメントの人たちはどう考えているのか、興味があるが、自転車の業界の人間は良きにつけ、悪しきにつけ、「現実主義者」であり、肩をすくめるだけだろう。

ちなみに海外県は東カリブ海にいくつか(グアドループ・マルティニック等)、ギアナ、マダガスカル周辺(レユニオン、マヨット)、そして南太平洋(ビキニ環礁など)がある。グアドループの人口は40万人ほどで、面積は香川県ぐらい。砂糖とバナナと観光業でなりたっていて、飛び地の島の例に漏れず多大な補助金(from EU/France)とそれにまつわる政治的なひずみの臭いがぷんぷんする。しかしあくまで海は青く、野は緑である。

交通はフランス本土のパリ・オルリー空港からコルスエアーなる聞き慣れない航空会社でル・レゼ空港まで8時間ぐらい。われらがフランス中南部に位置するクレルモン・フェランを朝6時前に出発して、昼前にオルリーまで到着した。

シャルル・ド・ゴールではしょっちゅう乗ったり降りたりしているが、オルリー空港を使うのは初めてである。とりえあえずの印象は、ろくでもない車の動線設計と、現代アートの壁面、トイレがまるごと1フロアに存在しない空港内である。

空港正面玄関付近、荷降ろしのところの車の列が30分オーバーはあろうかという列になり、これでは飛行機に乗れないと判断した僕らは、玄関から50メートルほど離れた道が分離するところの島に無理やりバンをつけ、自転車14台プラス引っ越しできそうな荷物をいったん出してそこから空港内に人海戦術で運ぶという荒行にでた。輪行バッグはホイールやら補給食やらでパンパンであり。むやみに重い。

それをこなすとどうにかコルスエアーのカウンターに並び、すさまじい荷物の量にカウンターの善男善女の職員に引かれながらも、タフに荷物を預けていく。1人荷物1個と自転車1台までが規定らしいのだが、はるかにオーバーしている。これはすさまじい超過料金になりそうだ。

監督がこれまたタフにコルスエアーのカウンターで超過料金の交渉を続けている間、朝から何も食べていないのでブリオッシュドレーでサンドイッチをぱくつき、トイレを探すが。。。ない。フロアまるごとない。防犯のためだろうか?モロッコ便などが他には入っているオルリーだが、ひどくごったがえしていて、整った感じの(しかしやはり不便な)シャルル・ド・ゴール空港とはずいぶん雰囲気が違った。

どうにか荷物預けをやりすごし、すでにやりきった感を腹に感じる。おまけで荷物検査にてコンピュータなどの周辺機器をまとめているバッグが精査され、ただでさえ遅れ気味だった搭乗時間にまったくもって間にあわなくなる。やれやれ。

名前をアナウンスで呼ばれながら小走りに機内に転がり込んだが、結局空港滑走路の混雑から、なんと1時間半遅れで飛び立ったのですべては帳消しになった。機内への誘導は普通に行われたので、早々と到着していた人たちは悲劇である。

機内では特に何もする気がなく、反応する気配のないタッチスクリーン式のディスプレイにも匙を投げ(半分を過ぎたところで、チームメイトのダミアン・モニエに爪で押すとよく反応すると教えてもらった)、本を1冊キンドルで読みきってしまう。

到着して荷物のターンテーブルでは早速現地メディア(多分NHK的立ち位置の公共放送の人たち)がやってきて、トマやその他のチームの選手をテレビインタビューしたりしている。島の歓迎ムードが感じられる。

バスに揺られて1時間ほどしてこれから11日間のホテル・ロタバに到着する。到着するなり僕らのバスがビーチからメインの道までの小路を塞いで、ビーチから家路やホテルに帰ろうとする車を完全に塞いでしまい、運転手とビーチから帰る人が喧嘩を始める(クレオール語、フランス人もわからないとのこと)僕らはもわっと湿気を含む暑さの中、黙々と再び大量の輪行袋をホテルに運びこむ。実はここ、一泊1万円近くするそこそこに高級なリゾートビーチホテルであるようだ。だが僕らの印象はシャワーその他の水がちょろちょろしか出ずに身体も洗えないという一点に集約される。美点はよくエアコンが効くこと。夕方はデング熱をもっているかもしれない大量の蚊に注意。(WiFiは弱い)

とりあえず初日はグアドループは遠いという事実を確認した。明日以降に期待しよう。僕らのツールは始まったばかりである。

2016年7月26日火曜日

ツール・ド・グアドループへの旅

7月29日~8月7日まで、ツール・ド・グアドループ(UCIアメリカツアー、2.2)に出場します。

グアドループという地名は耳慣れないと思うので、紹介させていただくと。。。
カリブ海の周縁にあります

拡大するとこんな感じ

ちなみに、カリブ海にあって、アメリカツアーなんですが実はグアドループはフランス領です。

われらがブリヂストン・アンカーチームはここ数年毎年出場していて、総合争いをしています。特にダミアン・モニエが例年TTと登りで抜け出し、優勝争いをしているので、彼を軸に戦うことになるのではないかと思います。

現地住民はこのレースに関して熱狂的な思いがあるらしく、その様子は以下の動画から伺い知れます。ちなみに現地では公共放送で毎日中継があるとのこと



なにせ島なので、毎年ネタの宝庫みたいなレースになるらしいです。マフィアのボスみたいな選手がいたり、毎年誰かしら骨折していたり。。。昨年秋のシンカラみたいな事件が起こらないことを祈ります。

2016年6月29日水曜日

スポーツ心理学の話 Attention(注意)の向け方

僕は分野横断的に色々なことを調べるのが好きなので、色々な分野をつまみぐいして、レースやトレーニングに活かしているわけなのですが(というか、理解できないことはあまりやりたくないタイプ)その中でも今回はスポーツ心理学の話

今回の全日本選手権タイムトライアル並びにロードレースにおいて、メンタルの準備をしっかりしなくてはと例年にも増して思いました。というのも、全日本選手権前3週間ほどにあったTour of Japanの修善寺ステージで大失敗したという反省があります。最初のペースアップで乗り遅れ、いきなりグルペットに入ってしまい、ステージ順位も、総合も、チームとしての動きもできませんでした。その前日の富士山ステージでは全体で17位、脚力的にはどう考えても問題がないはずです。

何より衝撃だったのは、同様に乗り遅れていた新城さんが一回だけ前のグループがみえた瞬間に躊躇なく脚を使いながらブリッジしていき、しかも前で絶妙に立ち回りステージ優勝まで果たしたという事実。単純な登りならTOJ期間中は新城さんと同等以上に走れることは富士山や飯田ステージでわかっていたので、こりゃメンタルだなと思いました。

そこから、あらためて色々調べました。まずとっかかりにしたのは以下の動画

コーチの中田さんの記事でも紹介されています。
痛みに対して前向きな気持ちを持つ、フォーカスを決める、苦痛はポジティブな物だと捉える。。。確かに重要だと思います。他にもビジュアライゼーションをやるとか、典型的なものをひととおり調べました。

しかし、、、結構選手が選手経験を通してやっていることだなとも思いました。専門の人がコーチしながら徹底することにはかなり意味がありそうですが、それほどのリソースもないし。また、学術的な面の裏付けが気になりました。人の心理状態ってものすごく複雑なものだし、ポジティブな気分も、ネガティブな気分もときに役にたつことがありますよね。スポーツ科学はエビデンスを示す実験のデザインがどれもかなり難しく、確かにマイナスではないかもしれないけど、実際に自分が使うには前提条件もよくわからないし、難しいなと思いました。

決定打になったのはMichael Hutchinson氏の本"Faster"でビジュアライゼーションが全くうまく機能しなかったというくだり

Faster: The Obsession, Science and Luck Behind the World's Fastest Cyclists

次にブレークスルーになったのは、この論文。Wigginsがアワーレコードを挑戦したときの心理学的なテクニックが載っています。注目したのはAttentionとMeta-Attentionという考え方。

僕なりに解釈すると、「何に意識を向けるか」と、「何に意識を向けているかを意識できるか」という能力と対象を考えるということ。

Wigginsの場合には全体の戦略と脚の具合、走りそのものだけに意識を向けることでスタート、中盤以降はリラックスすること、バンクのリズムに合わせること、目標ラップに注意を向けます。

重要なことは、このAttentionというか、意識の対象をすばやく切り替え、深く集中し、心がさまよわないある種の筋力のようなものを事前に養っておくこと。

そのためには何をするか?についてはSearch Inside Yourself: The Unexpected Path to Achieving Success, Happiness (and World Peace)が役に立ちました。ざっくりいうと気軽なものでよいので瞑想をたくさんやれということ。必要なときに必要なことだけ考える能力を養っておくこと。

これぐらいシンプルに落としこんでようやく実際に使えるテクニックになりました。




2016年6月28日火曜日

2016年全日本選手権が終わりました

前半戦を締めくくる全日本選手権が6月24−26日の日程で終了しました。各種のメディアで報じられている通り、個人タイムトライアルで2012年以来2度めの優勝、ロードレースでチームメイトである初山選手の優勝に次いで2位という最高の結果で締めくくることができました。応援ありがとうございました。



2016年6月7日火曜日

Tour of Japan 富士山ステージからみるヒルクライムのリアル

Tour of Japan第6ステージは日本で行われるヒルクライムレースで多分一番レベルが高いです。ステージレースの1日なので、それまでのステージで疲労していることを考慮に入れても、総合優勝のかかる重要なステージなので軒並み登れる選手は皆狙ってきます。

先日走ってきて全体で17位、日本人1位でコースレコード(41:45)でした。長い間森本さんの出した42分フラットぐらいの記録が破れなかったので、ようやく一歩進めたかなという気持ちがあります。初めて出た自転車のレースはヒルクライムだったので、少なくともあの日は日本人でヒルクライムが一番速かったなという感慨もあります。一方でまだまだ海外の選手に追いつけていない焦りもあります。

とはいえ、ようやく先頭が見える位置でかなりの時間を過ごすことができたので知見をパワー・ケイデンスデータと共に共有します




1.スタートはあたりまえですが速いです。しかし今回は安定しています。十分なトレーニングを積んでいて、無駄な上げ下げがなければある程度(この場合は中間の馬返し過ぎまで)ついていかないと好記録は厳しいでしょう。ヒルクライムといえどロードレースの要素はあります。20km/hを下回っていても、同じテンポで引いてもらえるチャンスがあれば脚をためられます。とはいえ、加減速は著しく脚を使うので避けたほうが良いです。冷静と情熱の間で身体と対話しましょう。

2.ケイデンスは低いところで60ちょっと、通常で90ぐらい、ちょっと緩いところで100ぐらいといったところでしょうか。こうしろ、というセオリーはありません。楽に速く走れればなんでもよいです。ただし、一番きついところでどれぐらいケイデンスが欲しいかを確認してギヤを決めておかないと当然回せなくなります。今回は34*28まで使いました。(max 20%ぐらいの勾配です)もう少し軽いのがあっても良かったかもしれませんが、特に不足は感じませんでした。

3.記録を求めるなら最後まで淡々と。勝負をかけるなら終盤はロードレースと同じです。ラスト1〜2キロの区間で3回アタックをしています。

2016年5月4日水曜日

倹約精神と見栄っ張り精神

ステージレースのふるいというものは徹底している。

だまになったココアパウダーをふるいにかけてきめ細かくしていくように、無駄でエネルギを失う動きが自分の中から削り取られていく。より繊細に、よりなめらかに。ブレーキングを少し遅らせ、誰かが切り裂いてちょっと気圧がさがっているような空間に身を寄せて、自分が群体生物の一個体になったような心持ちで極力加速をおさえながら省エネでプロトンと動く。

練習するときには、どれだけエネルギを消費するか、脚を使ってなおかつ無理やり動かせるかというマインドセットだから、ステージレース中とはまた真逆である。オフシーズン明けや、レースの感覚が開いているとこの倹約精神と練習中の見栄っ張り精神(俺の脚はここまであるはずだというような)との切り替えが少し難しくなったりする。こういうときに、完走できるかできないかというギリギリのステージレースを走ると倹約精神が割増されてよい。

倹約精神はレースや人と一緒に走って、自分の持てるものでなんとか食いつなごうという厳しい状況下でしかなかなか磨かれないから、見栄っ張り精神よりも貴重かもしれない。人間なんとか楽をしようと考えると色々な策がうてるようになる。そしてその策のためには往々にして技術が必要になるから、倹約精神は技術的資本を蓄えてくれる。

ただ、倹約精神も強すぎるとそこそこの体力でなんとかなってしまうことが多くなってきて、いざ本当にキツイ場面ではついていけなくなることが多いように思える。時には大盤振る舞いするしかない場面がくるのもロードレースだから。見栄っ張り精神は体力的資本を少しずつ蓄えてくれて、そういう時に役に立つ




2016年4月23日土曜日

2016使用サングラス

前回の記事では度入りサングラスについて語りましたが、今回は実際に2016前半でメインに使っているオークリーの3本をご紹介します。

1.レーシングジャケット フルリム式なので、全眼の度入りにしても厚みが気にならない。徐々にフェイドアウトしているモデルかと思いますが、デザイン、堅牢性などバランスが良く使いやすい。調光レンズを使用しています。


2.レーダーロックの調光レンズ。こちらは埋込み型でハーフリムになります。広い視界とホールド感が良いモデル。


3.レーダーロックのレッドレンズモデル。一本だけもっていくとしたらこのレンズカラーです。どんな天候でも安定した見やすさ。実は調光よりも万能なモデルです。


2016年4月2日土曜日

度入りサングラスについて [Sponsored]

最近はポリティカリー・コレクトな広告という考え方も出てきたというけれど、やはりというかなんというか、ファッション誌の写真を飾るのはぴちぴちした、イデア的若男女だと思いませんか?目に快いものを提供するのが商業主義の本質だという、冷酷無情な現場主義の方も、もっと多様な美観というものがあっていいよねと表明されるリベラルな方もいらっしゃると思いますが、すくなくとも日本における現実は今のところこんなものでしょう。

サイクリングの世界もまったくもって例外ではなく、ブランドイメージにもよりますが、いわゆる「シュッとした」写真が好まれるというのは、知人の識者の弁にもありました。人間は実に感情的な生きものなので、そのイメージに近づくためにサイクリングが必要であり、前提ではないと頭ではわかっていても、その反対側にどちらかというと立っている人たちにとって入りづらい世界なのではないかと思う次第です。

週に20時間ぐらい自転車に乗って(先週はノルマンディーで30時間ぐらいでしたね)それなりに絞れた人間がそんな共感を示したところで嫌味だと感じる方がいるかもしれませんが、僕は色々な場面でサイクリングの世界のアウトローを生きていると日々自認しているので、基本生きづらいです。その逸脱の中でも、ロケットを月に飛ばして40年たっているこのご時世にこれはどうなんだという問題について書こうと。

それは視力に関してです。

強度の近視と乱視が組み合わさっている僕が中学・高校の境目ぐらいでロードバイクを始めるにあたって問題になったことの一つはサングラスでした。当時、特に乱視矯正が入ると性能の良い使い捨てコンタクトレンズはなく、主にハードコンタクトで運動中にズレやすいのが難点でした。また、単純にコンタクトの装着感が好きではなく、大雑把な性格からメンテナンスが面倒だと感じて早々にクリップオンタイプの跳ね上げ式のサングラスに移行しました。

クリップオンタイプはそこそこ便利ですが、重いのが難点です。当時利用できる選択肢がそれしかなかったので妥協はしていましたが、この近視の多いご時世にプロ選手は一体どうしているのかと調べたものです。

調べてわかった結論は、ほぼプロ選手は困っていないというものでした。みな無邪気に既成品のサングラスをかけ、場面によっては外して頭に乗せています。すなわち、母集団となる人類全体における裸眼視力が弱い人の比率と、プロ選手における裸眼視力が弱い人の比率は著しく異なるという事実に気づきます。これは、アフターの写真で眼鏡をかけている選手が少ないことからもわかります。(当時はまだコンタクトはそれほど一般的ではなかった)つまりプロ選手の集団には、視力におけるバイアス(偏り)があるわけですね。

僕はその偏りに見えないフィルタといいますか、ある種の不公平を感じて嫌な気分がしたものです。「裸眼視力が弱い人で、コンタクトが嫌であれば重いクリップオンで妥協するか、さもなくば本格的なサイクリングを快適に楽しむことを諦め無くてはならない」などということが21世紀にもまかりとおっていて、不文律として透けているように感じられました。

その分、Eau de Vieの広告を初めてみたときは衝撃でした。完全に普通のサングラスに度入りのレンズを入れられる。そして実際に作ってみてあらためてその快適さにびっくりしました。

オードビーのオーナー、佐藤氏もまさにそのような体験をもとに現在のお店、サングラスのスタイルを作ったとのこと。(以下引用)

・・・オーナーの佐藤吉男は小学生の頃から強度近視で眼鏡を使用、高校生からコンタクトレンズにしたが、それでもスポーツ時のグラスにはいつも苦労させられた。

視力が低いとスポーツでこんなにも苦労するのかと他人とのハンディを実感する。

お店を開くと、多くの人が同じ悩みを持っていることがわかり、解決する事がお店の確立していく事となる。
オードビーのコンセプトは、アスリートの悩み(自分の悩み)を解決していく事であり現在でも継続している仕事となっている。

今ではOakleyも純正の度入りを作るようになっていますが、僕の場合は視力が悪すぎて未だにEau de Vieのオリジナルでしか度を入れられません。

今では中島康晴選手や、伊藤杏奈選手のように、度入りを使っている選手も増えています。

コンタクトの性能も上がっていますが、やはりホコリ・涙などの影響を受けない度入りサングラスは快適ですし、選択肢があるというのは大事なのではないでしょうか。

次回は今シーズンのサングラスを紹介します。

*読者のご指摘により初めて知ったのですが、当初使っていた弱視とは、矯正視力でも十分に視力が出ない人のことを指すようです。主に裸眼で近眼・乱視の人を今回はまとめていいたかったので、少し回りくどいですが上のように訂正しました

2016年1月9日土曜日

Who will Win 2016 Tour Down Under? One Step Forward Over Simple Statistics

Many World Tour riders start their season with the Tour Down Under. You may wonder how each rider's condition is. There are few clues compared to races in the middle of a season. You can guess some Australian guys go full swing. e.g. Drapac guys especially will make hard effort to earn world-wide reputation in their home country. In addition, Australian and New Zealander riders have competed their nationals. It is easy to say Richie Porte and Rohan Denis are in good shape according to Australian national TT.

How are the others? See stats. Good starting point is checking the summary page by procyclingstats as usual.


I want to know one step further. Some riders are good at bang from the beginning of a season. Others are not. One of the reason is that riders living in the Southern Hemisphere riders are able to train in hot condition. However guessing each rider's winter training condition is almost impossible. So I go for data visualization.

I downloaded last three years GC points of top 25 GC ranking riders.
e.g. 2015 season of Richie Porte is as follows.

I plotted each race's points. X-axis represents days from the 1st January. Y-axis represents PCS Points by GC results.

It seems that he competes very well from the beginning of seasons.
I repeated the same processing for top-25 riders. Here is the result.


Three line graphs for one rider. Finally I picked four riders in red circles. The norms are 1. their performance are relatively high (averages and peaks are higher), 2. at least in two seasons, they competed well from the beginning of the seasons, and 3. they ended their season early enough in 2015. I picked four riders without knowing each circle represents which rider. I confirmed their names and am satisfied.




This is a very primitive technical analysis which is applied to riders' results. I am glad if you can get new insights from stats.

2016年1月5日火曜日

How Large are the Riders in Peloton Today?

ProCyclingStats.com has contributed to dramatic improvements to check professional road cycling results since its launching. I am a big fun of it.  I check their site almost everyday and imagine how other rivals compete in other races. Right after I race, I am looking forward to checking their publishing the result, not from officials because PCS's UI is far smarter everytime.

Also, I love data analysis. Actually, I worked for one year in a data science company after experiencing Champion System Cycling Team (Pro Conti) in 2013. After one-year retirement, in 2015, I am back to cycling. I struggled a lot to become fit again in 2015 and am getting better. I decided to do smarter not only harder in 2016. 

It is said that if you know your enemies and know yourself, you will not be imperiled in a hundred battles ---Sun Tzu

To know my rivals, PCS is very good start point, right? I gathered Height and Weight information of Pro Tour and Pro Conti riders from their site.

Firstly I simply plotted all of them. The number of riders is 957. 800 of their height and weight are registered.

I find I am relatively short and light compared to PT/PCT guys. To tell the truth, I knew it... haha.

Secondary, I explored trends by nationality just for curiosity.


I noticed several interesting trends.
  • France, Italy, and Spain have very similar trends. See eclipses.
  • Belgium, Netherlands, and Germany also look similar.
  • British and Danish riders have smaller variety compared to others.
  • Colombian riders are apparently short and light. Probably a lot of climbers.
  • Swiss & Czech riders have wider variety.
  • Off course Japanese guys are short and light. I am not an exception.